映画三昧②【 命みじかし恋せよ乙女 】


単純に映画の題名から?

私の好みは もう少し 単純で

愛にあふれる映画なのに・・・

屈折した愛では 解り難かった。

あまりに、私自身の生活とは

かけ離れたものだったから?

樹木希林さんの遺作だから?

そんな理由だけで

観る映画を選んでしまった。

失敗?

二時間の無駄使いだったかしら?

少々 後悔?

さほど、素晴らしい映画でも無い。

外国の監督さんの自己満足にあふれた作品か。

人生の難問題を 散りばめ過ぎ。

私なら もう少しテーマを絞るね。

ドイツの女流監督の作品らしいが、

何処の国にも 解りにくく、

複雑な精神により苦しむ人は居るんだなぁ~と、

思いましたね。

実に解り難い映画でした。

子どもの頃から抱える家族関係の葛藤、

親子関係 兄弟姉妹との関係・・・。

さらに 離婚した妻との関係。

子の誕生会にも参加を拒否される。

現在も苦しむアルコール依存症、

それらによる幻覚症状など、

精神的な病と闘う主人公の心の隙間に

入り込むようにやってきた

一人の怪しい日本人女性。

ドイツの重々しい雰囲気の景色の中に

突然現れたユウというその女性の存在が

とびぬけて浮いていた。

あのキャスティングは 私的にはミス!

キャラが 濃過ぎかな?

彼女の存在は幽霊なんだろうな

と最初からわかってはいたけど、

幽霊というよりも妖怪のようにも見えて、

ある意味おもしろさも含んだ存在に

見えてしまった。



主人公の人格が

物語に重大な影響を与える場合には、

生い立ちから語られることもある。

人間の人格は気質などの遺伝的な要素に加えて、

乳幼児期に決まる気性、

それと経験と記憶によって形作られる。

記憶の殆どは無意識の領域にあり、

大部分は自覚がない。

それは人格を形作るほんの一部である。

その人を理解するのは非常に困難である。

人間の人格は無意識の内にある

と、言って過言ではない。

記憶は本人の望むように改変されるから、

嘘をついている自覚がない場合もある。

そういった条件が

人間相互の理解を困難にしている。

他人と理解し合えたと思うのは錯覚である。

最も個体差が大きい。

特に精神世界については千差万別であり、

まさに人それぞれだ。

共通点よりも差異のほうが圧倒的に多い。

深くて狭い川があるのは男と女の間だけでなく、

すべての人間同士の間にある。

理解し合えないことを嘆く必要はない。

寧ろ理解し合えないのが当然と思っていれば、

たまに同じ星を見て美しいと言い合える事が

大きな喜びになる。

人は誰でも心の奥に混沌とした

闇を隠している。

自分でも上手く説明できない闇だ。

広大な闇の世界に光を当て、

その姿を朧気に浮かび上がらせると、

人類に通じる真実が見えるかもしれない。


本作品に流れる「ゴンドラの唄」は、

黒澤明監督の「生きる」で象徴的に使われた歌。

その中の歌詞、

「 命みじかし恋せよ乙女 」

と、言うのは 生に対する応援歌なのか? 



本作品の主人公カールは

エリート銀行員からアル中に身を落とし、

妻子からも捨てられそうになっている。

この男がこれから

どのように世界と関わっていくかが

作品のテーマ。

彼の生い立ち、トラウマ、妄想などが描かれる。

意外に複雑な人間関係で、

そこに登場するのが謎の日本人女性ユウだが、

トラウマを解(ほど)くよりも、

ありのままを肯定しようとする。

思えば主人公は否定される人生だった。

しかしユウは何も否定することがない。

だから?

心地よい関係?

恋に墜ちる?

男女の関係になったの?



ドイツ語と日本語と英語が

ランダムに出てくる作品である。

神はどこにも出てこない。

代わりに幽霊や悪霊が跋扈し、

主人公の精神世界の闇を描き出す。

亡くなった筈の父母は 幽霊である。

闇を拒絶し現実から逃避するためには

アルコールが必要であった。

しかしアルコールは

闇をさらに大きくするばかりである。

ユウと行動をともにして

( ユウは生きて居る存在ではない。)

トラウマの場所を尋ねることで、

闇を闇として心に抱えて生きていく覚悟が

いつの間にかできたようだ。

神を否定し、生を肯定する。



祭は共同体の精神世界を操るものだ。

かつてはシャーマンが祭を取り仕切った。

いまでは祭は形骸化して

形式だけのものとなっているが、

参加者の誰も意味がわかっていない祭の手順には、

霊的なものが潜んでいる。

祭の中にこそ人間の闇があるのだ。

幽霊も悪霊もそこに集い、

打楽器のリズムや掛け声の中で練り歩くうちに、

人々の中の闇が少しばかり解き放たれる。

ある種の浄化作用である。



主人公が日本の茅ケ崎を訪れた事によって

祭りと海・・・墓地。

怪しい世界に感じられてしまう。

海から【 死 】を誘う ユウ。

気味が悪いよ~。

貞子みたいよ!

私は 長い黒髪が嫌い!

その糸が 何と! 古い電話線。

いささか 変!



主人公がこれからどのように生きるかは不明だが、

世界との関わりは確実に変化した。

樹木希林が演じた老女将は、

主人公の浴衣の左前を右前に直す。

象徴的な場面だ。

死者の世界との決別である。

彼女がカールのお尻をポンポンと叩きながら

「生まれてきたんだから、幸せにならなくちゃ」

と言うときにも、

やはり生を力強く肯定する世界観が示されている。

日本語が理解できないはずのカールも

何故か晴れ晴れとした表情を浮かべる。

生は死を内包しているが、

死の闇に生を差し出す必要はないのだ。

そんな「生への応援歌」的な映画だと思う。



カールは 性同一性障害、テーマは重い。

凍傷により 大切な患部を失う。

前半は難しい。

映画の全容を理解出来る人も少ないだろう。

特に幻覚が出てくると、

現実なのか、過去の思い出なのか、

幻覚なのか分からないので混乱する。

後半はそれらモヤがが少しずつ晴れる

なんとも独特な雰囲気の映画で評価が難しい。



カールの魂は

生死の境にある時に、日本を訪れた。

カールは、

こちらの世界でもう少し生きようと決心する。




誰もが聞いた事がある~ゴンドラの唄の歌詞

「 いのち短し~ 恋せよ乙女~♪

  あかき唇 あせぬ間・・・。

  熱き血潮の 冷えぬ間に

  明日の月日は ないものを」に、

人生を 此処まで過ごして来た自分に対して

もう少し~もっと生きなさい!!

というメッセージが込められているように

感じられて、胸が熱くなる想いがした。